
#18
米良を襲撃した人間は、直ぐに判明した。
政財界の女帝として一大企業を築き上げた美国社長。
彼女は決して人道に劣る行いに手を染めたりはしなかったが。
反面、外道には容赦ない。
よって、よからぬ連中の逆恨みに晒され、命を狙われる機会も少なくは無かった。
彼女を守る為に、私設の護衛が付けられ。
中でも、俺と米良のツートップは美国社長の懐刀として。
憎悪と畏怖の対象になっていた。
だから――俺達の存在を疎ましく考える組織。
その中でも、人ひとり消しても事実をもみ消せるだけの力と。
時期的に行動を起こすまで切羽詰っているヤツラを。
洗いなおすだけで、簡単に『敵』の正体に行き着いた。
後は――連中に戦慄と後悔を叩き込んでやるだけ。
「………」
日付を越えやっと部屋に戻った俺は、扉を開けた先の光景に。
たっぷりきっちり一分間、完全に固まった。
「おかえりなさーい。香織〜」
おたまを右手に、淡い桃色にチューリップの刺繍が施されたエプロン姿のパートナーが。
うまそうなシチューの香りをさせて玄関に出迎えにきたら。
普段ならば、そのエプロンは使うなだの、俺を待たずに先に寝ておけだの。
まず、小言を口にするのだが。
――するのだが。
「……何を…、してるんだ。お前は」
「えー、何って。新婚さんいらっしゃーい。みたいな?」
えへー、と邪気なく笑ってエプロンの裾を広げてくるりと回って見せる米良に。
俺は、心底、眩暈が、した。
「か、おり…。まッ――、あ、アッ」
余裕の無い制止を振り切り、先端を更に強く擦りあげると、メラは息を呑んだ。
「や、……ァッ」
眦に浮かぶ涙を少し乱暴に舐め取り、そのまま顎のラインを舌で辿る。
首筋から顎下の部分は特に敏感で、攻め甲斐もある。
「ん、ン――ッ。か、おり…ご、はんが…さめっ、ちゃ…」
「後から、温めなおせばいい」
「……ふ、ッア…」
白濁に濡れた指先を奥へと滑らせると、熱を孕んだカラダが大きく震える。
「勝手に病室を抜け出したのか。メラ」
「ん。……だ、って…」
はぁ、と切なく吐息を漏らすメラの右肩に噛み付いて、言い訳を咎めた。
「や…――、い、タッ…」
そのまま胸の淡い尖りに唇を寄せ、押しつぶすように舐め尽くす。
奥を解す指先の感触と相俟って、メラは堪らず腰を揺らした。
「あ、アッ…ん。か、おり…ぃ」
綺麗で従順な俺の、俺だけの――セックス・ドール。
「メラ、お前を撃ったヤツも、襲撃を命じた組織も判明した」
「ん……ッ、?」
紅柘榴の瞳が濃厚な夜に艶めきながら、訝しげに細められる。
「明日には、報復に向かう」
「………」
「お前を傷つけた事、俺は赦さない」
欲に濡れた甘く狂おしい眼差しが、何度か、瞬きを繰り返して。
雄の本能を直接揺さぶる淫猥な喘ぎを零すだけの口唇に、ふ、と微笑が刻まれた。
「香織」
俺の肩に縋るように絡んでいた左の指が、そっと、頬を撫でてくる。
普段、事の最中に俺を積極的に求めてくる右腕は、痛みの所為もあるだろうが、おそらくまだ――自由が利かないのだろう。先ほどから、シーツの狭間に投げ出されたまま。
そんな姿に、ますます、自分の中の闇が駆り立てられた。
「香織」
「……赦さない」
「…香織」
「駄目だ。お前が望んでも、俺は――、ッ!」
くちづけ。
項に絡んだ左手に、ぐいと力を籠められて、メラにしては珍しく。
乱暴なほど――強引に、声を奪われる。
「…香織。愛してる」
「――知ってる」
愛を紡ぐ互いの口唇から、銀糸が卑猥に伝う。
「愛してるよ。香織」
「…もう、黙れ」
「……愛してるよ」
綺麗な綺麗なアルビノは、酷く慈悲深く、俺を包み込んで微笑んだ。
なんだこれ(驚)
まぁいいや。とりあえず、アレですよ
メラが愛しくて感情を持て余す香織たんと
香織たんが大事すぎて、もう他はどーでもいいメラっち
お互い依存し過ぎて、愛情が空回って、すれ違うといいです
癒し愛も好きですが、痛い愛も好きです
うん、なんか今更ですけど、べる玉先生ゴメンナサイ。
(見てないだろうけど)