#2




 冷たい雨と、硝煙と、血の臭い。
 灰色に垂れ込めた天蓋から、掃き溜めのような世界に向けて、号泣が聴こえる。



「雨、すごいね」
「……ああ」
「傘、持ってくれば良かったね」
「どうせ、使ってる暇なんて無い」
 実直で不器用で優しくて、愛おしい。
 可愛くて大好きな俺のパートナーは、二人、雨から避難した非常階段の下で、とても不機嫌そうに懐の拳銃に弾を篭め直している。
「かーおーり」
「………」
 あ、やっぱり機嫌悪い。
 返事もしてくれない。
 律儀な性格の可愛いひとが、こんな態度の時は、めいっぱい怒っている時。
「……怒ってる?」
 わざと、甘えた声で懐いてみる。
 香織は優しいから、こういう風にされると弱いんだ。
 自分は全く悪くないのに、罪悪感を煽られるらしい。
 ホントウに、可愛い。
 大事な、大好きな、俺の相棒。
「――知るか」
「香織」
 今度は、やや抑えたトーンで名前を呼ぶ。
 すると、大人びた黒のスーツに包まれた華奢な両肩が小さく跳ねた。
「好きだよ、香織」
「……うるさい…」
 苦虫を噛み潰したような、憎々しい、でも、悲しそうな声。
「――愛してる」
 駆け引きも何もあったもんじゃない。年甲斐も無く、臆面も無く、俺は愛を囁く。
「……ウルサイ」
 そんな俺に、香織は背を向けたまま。
 二人、雨宿る屋根の外は、激しく空が罪を打ちつけて。
 このまま、世界が止まってしまえばいいのになんて、無理な事を願った。



散文って、短くていいから楽ッスね。
わかりにくい内容ですけれど、わざと分かりにくいままで
そして、シリアスな内容のくせに、可愛い壁紙のまま。
ナイス、ほえ! では、ブラウザ(IE等)を閉じてお帰りくださいネ。