#20




 米良の――そういう性格は、よく分かっているつもりだった。
 わかっているつもりだったんだ。
「ンだ。血相抱えて、どーしたよ」
 美国探偵事務所の所長である巧美さんが、開口一番、そう問いかける。
 それに俺は――体裁を整える余裕も無く、堰を切ったように。
「米良の行方を知りませんか?」
「あ?」
 イキナリ何を言い出すのかと、不審そうにトーンを上げた巧美さんに。
 シロか、と確信を抱く。
 巧美さんは、妙に米良と繋がっていることがあるから。
 今回も、一枚噛んでいるのかと思ったんだが――。
「おそらく今朝方――出たきり、連絡がつかないんです。
 それで、何か心当たりが無いかと…」
「今朝って――まだ、昼過ぎだろ。ガキじゃあるめーし、そのうち帰ってくンだろ」
 マトモに取り合おうとしない巧美さんの態度は、確かに、当然の反応で。
 いい年をした大人が、半日連絡が取れない程度で。
 大騒ぎする、俺の方が余程異常なのだろうと、自覚はある。
 しかし――、
「ただのイタズラの可能性も考えました」
「? ンだよ、死にそーなツラし…て、あ?」
 目の前に差し出された一通の書状――。
 玄関に無造作に差し込まれていたそれを、胡散臭気に見遣る巧美さんの。
 その顔色が、みるみる強張る。
「あンの、バカッ!!」
 事態を正しく把握した巧美さんの行動は素早い。
 奇人変人の集まりとして、異彩を放つ美国探偵事務所だが。
 驚くことに、事件の解決件数、達成件数はパーフェクト。
 ――まぁ、時折、その手口の非常識さに苦情があがることもあるが。
 探偵としての腕前は、意外にも、確かなのだ。
「おい、香織! ちっと待ってろ。今、買出しに出てる正宗とアホ恒を呼び戻す」
「――はい。お願いします」
 殊勝に、俺は、頭を下げた。
 今回の件は、――おそらく、米良の過去に関わること。
 だから、社長に頼ることも憚れた。
 もう、ここしか――方法が無かった、から。



「おい、巧美〜?」
「…兄さんッ、何なのさ、急いでッ…もどってこい、って…」
 やがて、五分と待たずに、二人が戻ってきた。
 ぜいぜいと肩で息をする恒君の様子からして、相当走って来たのだろう。
「急用だ。恒。お前は、ココで留守番してろ。正宗、お前は俺と来い。
 何かあったら、直ぐに俺に連絡をして来い」
「……? 何かあったの? あれ、香織さん?」
 前屈みに呼吸を整えてた恒君が、俺の姿を認めて、キョトンとする。
 それと対照的に、正宗さんは――表情を厳しくさせた。
「了解。んじゃ、お留守番ヨロシクね。恒ちゃん」
「え? ええっ?? 何々??」
「すみません。お二人をお借りします」
「あ、はい…。ど、どうぞ」
 場の流れについていけずに、目を白黒とさせる恒君に、一言詫びて。
 俺は、二人の助っ人と共に、事務所を後にした。



「そっか。米良サンがかー」
 後部座席を一人で陣取る正宗さんが、前に乗り出しながら呟く。
「正宗。お前、そのテのコネあんだろ」
「まーね。っても、アイツ、ゴーツクだから。幾らボられるか」
「俺が支払います」
 金銭的な問題など、米良の無事に比べたら――。
 反論の隙を与えず言い放つと、正宗さんは、うーんと苦笑した。
「お金じゃなくて、ね」
「あー…、その筋のお仲間かよ」
「ま、ね」
「……?」
 何か、含みを持たせた言い方だ。
「必要なものなら、可能な限り揃えます」
 よく分からないなりにも、そう切り出す俺に。
「ま、その辺は俺がうまいこと交渉するわ。
 六番街の、ビル開発地区まで車回してくれる?」
「――分かりました」
 と、正宗さんは苦笑した。



問題がココに。コミック派なもんで。
正宗の、米良や香織に対する呼び方が不明。
正直、香織や米良のオズ先生に対する呼び方も不明を その辺は、捏造まんせー、ですので、ヨロ
そして、うっかりメラっちに出し抜かれる香織たん。
昨晩ヤッた後、なんか仕込まれて、昼まで目ェ覚まさないようにされたんだ
そうに違いない。と、想像しつつ、ブラウザは閉じてお戻りください